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7年使ったヘッドホンへ、ありがとう

そばにいてくれた相棒音

BOSEのQC25:七年間も使い続けた質の塊、うま娘だったら長距離Sランクいけそう

中二まで使った、ボロボロになってしまったソニー製ヘッドホンの寿命が切れかけたころ、ちょうど誕生日を間近に控えていた。2千円かかったそれを、惜しげもなく手放すことができた。使った時間も短かったし、音質もそれほどでもなかった。今ではどこに置いていたのかすら覚えていない。今思い返すと、すこしだけ懐かしいような感情が湧いてくるけど、あくまでそれだけ。

誕生日に、お母さんが僕にくれたプレゼントは、なんと、新しいヘッドホンだった。BOSEの新しく発売になったQC25。しかも防音機能もついている。母に促されるがままそれを丁寧につけてみると、僕だけの世界ができたように、静寂がおとずれた。雲のようなふわふわの感触が、耳の周りを覆って、その品質を感じさせてくれる。ツギハギスタッカートを歌う初音ミクの声がこれほど美しく聞こえたことは、これが初めてだったかもしれない。感想は、とにかく最高。最高だけど、値段を調べたらそれに見合った金額だった。なんと、3万円だった。マック60回食べれる。

音質も値段のように高かった。静かな世界に流れてくるオーケストラは、僕だけのために演奏しているのではないかと思ってしまう。宿題も、ゲームも母がくれたそれをつけるとなんとなくまったく違う世界に踏み入れたきがする。人間の技術ってすごいな、まるで魔法みたいだ、と思ったのをはっきり覚えている。それに、あまり外出しない僕には、そのコードがついたヘッドホンがぴったりだった。音も途切れない、充電もいらないヘッドホンは、つなげるといつでも音楽が聞ける。

まあ、その高機能と防音のせいで、母の僕を呼ぶ声も聞こえなかったことで説教されることは別の話だけど。

とにかく、今年で二十歳になった僕は、このヘッドホンと共に色んな経験をしてきた。インドア派の僕は、それがゲームか音楽かその他の音を聴くために、このヘッドホンを7年間もつけてきた。友達も少ない僕には最高の相棒だった。

 

変わらない音

新しく買ったソニー製のXM4、防音最高だわ

7年間も使い続けてきたヘッドホンに今まで不満はまったくなかった。イヤーパッドは何回も入れ替えたのに、ヘッドホン自体はいつも通り誠実にツギハギスタッカートの音を僕の耳に届けてくれる。その音は決して「つぎはぎだらけ」にはならなかった。

ならなぜ新しいヘッドホンを買ったのか、その答えは僕が変わったからです。そりゃぁかわるだろう。7年も経って変わらない方がおかしい。でもまあ、僕だけじゃなく、周りの状況も変わってしまった。

かつて学校以外で部屋を出ない僕は、外に出るようになった。大学の授業も部活も、コードのついたヘッドホンを抱えるのには不便だった。それに、iPhoneの新版からイヤホンジャックが消えたから、アダプタまで買わされた。マジでなにしてんのアップル。進展どろか後退してんじゃん。とにかくまあ、そういう感じでソニー製のXM4ヘッドホンを買った。

注文から一週間、期待を胸にXM4の入ったダンボールをカッターナイフで勢いよくあけた。同じく誕生日に買った、黒いヘッドホンは今度母からのプレゼントじゃなく、自分でなんとなく稼いだお金で手に入れた。そして、BOSEの時と同じように、防音のついた、音質の高いヘッドホンだった。でも今度は、というかこの目的でかってきた、ワイヤレスのヘッドホンだった。

箱から丁寧に取り出して、電源をつける。そしてそれを耳につけたら、携帯から流れてくるツギハギスタッカートが聞こえる。初音ミクの鈴を転がすような歌声は、今度懐かしく聞こえた。音質のせいだけじゃなく、この7年間でさらに上達した技術と、時間の流れと共に僕自身が変わった事により、その音が変わらず美しく聞こえた。

 

二股をかける

新しいヘッドホンを買ったとはいえ、母が買ってくれたヘッドホンはとにかく捨て難い。プレゼントとしてもらったそれは、二十歳の僕の人生の半分に近い時間を共にしてくれた。落ち込んだ僕を励ましてくれて、つらいときは支えてくれたそのヘッドホンには感謝気持ちしかない。今までも、そしてこれからも丁寧に手入れしているヘッドホンにはありがとうしかいえない。なんども転ばされたコードもなんか愛着がわいてきた。

この先は出番は少なくなるかもしれないけど、これからもよろしく。そして今までありがとうございました。